2019年10月に最低賃金が改定されました。東京と神奈川は大台の時給1,000円を超えました。全国的にも平均で900円を超えました。

厚生労働省が出した全国の最低賃金の表です。

地域別最低賃金の全国一覧

賃金が多くなるとどうなるのでしょうか?

例えば、東京でこれまで時給985円で働いていた人は2019年10月から最低でも1013円の時給で働くことになります。これは間違いなく賃金アップです。

働く人にとってはプラス、でも経営者は・・?

ここで、経営者目線になってみましょう。

今まで時給985円で働いてくれていた人が、なんのスキルアップもなく、突然時給1013円になるのです。

仕事が速くなった? No

顧客満足度が上がった? No

業界でのシェアが上がった? No

何も変わらずに時給だけが上がるのです。

このくらい変化する?

最低賃金が変わることでどれだけ負担が増えるのでしょうか?

¥985 → ¥1,013になることで年間5万円増

1ヶ月の負担は1人あたり¥4,480の差額が生まれます。仕事のクオリティにはなんの変化もないのに、です。仮にフリーターを10人雇っている現場だとすると、月々の負担は¥44,800になります。年間だと¥537,600になります。

仕事の生産性になんの向上がない状態で年間で50万円も賃金として払わなくてはなりません。なんのために払っているのだ?と疑問に思う経営者も少なくないと思います。

最低賃金¥1,500になったら年間100万円増

新宿でデモをやっているのを見たことがあるのですが、その集団は「時給¥1,500」を求めていました。経営者にとっては現状との差で年間で100万円の負担増です。

負担だけが上がる

売り上げは変わらずに時給だけが上がってしまうのです。さて、このような状況で経営者はどのような判断をするでしょうか?

経営者の決断1:値段を上げる

ヒット商品が継続的に出る企業なら問題ないでしょう。しかしそんな企業は極めて稀です。そこで経営者が悩んだ末に考えつく1つの方法がサービスや商品の値段を上昇です。企業側も値段を上げたくて上げるのではなく、賃金を払うためのいわば販管費上昇のための苦肉の策で値段を上げることが多いかと思います。

経営者の決断2:従業員の解雇

売上の上昇がすぐに見込めない場合、かつ商品やサービスの値段を上げるのをためらう経営者が行き着くのが従業員の解雇です。しかも、解雇しやすいのは時給で働くアルバイトの方々です。

そう、時給を上げろと声を上げた張本人の時給で働く方々が真っ先に解雇の対象になり得るのです。

賃金が上がると雇用が減る?

雇用が減る、という表現は正しくないかもしれません。

経営者の立場で考えてみましょう。

賃金が自動的に上がる。でも既存従業員の能力が上がったわけではないので払うのは少しためらう。こうなると、ちょっとでも能力の高い人を雇おうというマインドになるのではないでしょうか?

つまり、採用面接が厳しくなるということが予想されます。

フリーターの中でもなんの努力もしない人は採用されなくなり結局職を失う、なんてこともありえるのです。

一方で社会にはプラスに働く?

経営者にとってはマイナスかもしれませんが、経済にとってはプラスになりえます。

賃金がアップしたということは支出も増えるということになります。企業で内部留保されるはずだったお金が社会に出るということで支出が増え、税金の徴収額が増えます。これにより社会にお金が回るようになり、様々な好循環を生むという現象が起こり得ます。

しかし、賃金アップを望む人の多くは「貯蓄に回せる収入がない」「将来が不安だ」と叫んでいるのが現状でもあるので、社会に回るお金の上昇はそんなに望めないかもしれません。

賃金が上がると損するのは結局フリーターやパートタイマーかもしれない

賃金が上がって働く側は幸せでしょう、瞬間的には。

しかし長期的に考えると、雇用のチャンスを自ら潰しているようにしか見えません。

他の人が短期的目線で「賃金上げろ!賃金上げろ!!」と叫んでいる中でもしっかり長期的に物事を考えることができる人が職に就けるのではないかと思います。

時給¥1,500は不可能ではない

ここで勘違いして欲しくないのですが、何も時給¥1,500は不可能だと言っているわけではないのは理解していただきたい。

将来的に、例えば経済が発展していき、物価も景気も上がってきたら十分可能な額だと思います。10年後かもしれないし、20年後かもしれません。ただ今ではない。急激に最低賃金だけが上がるとバランスが取れなくなるからです。

最低賃金は経済の状況に合わせて上がっていくことを望みます。

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